看護師便り　看護師特定行為研修を修了して

2024年04月02日

今年の冬は暖かい日が続き、私の近所の梅の花は咲き終わり、早咲き桜のつぼみも開いてきています。今回は、看護師特定行為研修の話をしようと思います。

 

皆様は、「看護師による特定行為」という制度をご存じでしょうか。当院のホームページにも詳細を掲載していますので、ぜひご覧ください。

「看護師の特定行為」

特定行為は診療の補助行為で、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力、ならびに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為の事で、38行為あります。

その中で私は今回、以下の4つの行為について通常勤務と並行して1年間、学びと実践を行いました。

 

 

特定行為研修へ参加したいと思ったきっかけは、コロナ禍で褥瘡（床ずれ）の患者さんの増加、そして1日でも早く患者さんの褥瘡を直す手助けと、痛みが取れる関わりをしたいと思うようになったからです。

しかし家庭との両立も心配で、なかなか特定行為研修の受講に踏み出せずにいました。

子供たちの成長に伴い一度話してみようと思い立ち、子ども達に相談をしてみました。その結果「大丈夫。出来るよ。お母さん頑張って。」と言ってくれました。子ども達の後押しもあり、特定行為研修を受講することを決めました。

 

2022年の夏頃に厚生労働省の指定研修機関一覧から自宅から通えそうな距離にある施設を探し電話で問い合わせをしました。まだ、コロナ禍であった為、他施設の職員を受け入れる施設は限られました。その中で、今回受講させていただけたのが上尾中央総合病院でした。

上尾中央総合病院では、個別相談会を開催しており、優しく丁寧に説明をしていただき、不安だらけな私も「頑張れそう！」という気持ちになれました。出願の受付番号は19番、募集定員は20名。募集枠よりも希望者が多い事が予想されました。試験当日、不安と緊張で試験・面接を受けました。面接では緊張して声が震えました。

その後、無事に合格でき2023年４月から受講できることとなりました。合格者はなんと募集人数を遥かに超えた39名（内9名が区分研修のみ）でスタートしました。

前半は、共通科目（臨床病態生理学・臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、疾病・臨床病態概論、特定行為時実践/医療安全）のe-ラーニングを期日までに視聴し、その間もレポート提出や講義、講義が終わったら試験を受けました。仕事しながらの受講であった為、看護部長の理解もあり、e-ラーニング視聴は研修日として学習に集中できる環境を提供して頂きました。それでも研修日だけでは視聴しきれず、仕事の合間や食事中、通勤時間も活用しました。

 

後半の区分別科目になるとe-ラーニングの他に演習を行い、筆記試験とOSCE（客観的臨床能力試験）を受けました。OSCEは、判断力・技術力・マナーを評価されます。提示された褥瘡患者さんの症例を提示され、褥瘡のアセスメントをし、自分がどのように処置を行いその後の対応まで求められました。緊張で声と手が震えていましたが、今までの経験と今回新しく学んだ事のすべてを評価医に伝えることが出来ました。

試験に合格すると次は実習です。私は当院の医師の協力があり、自分の病院で実習をすることが出来ました。患者さんやご家族の理解・ご協力もあり、無事に実習を終えることが出来ました。

 

4月から特定行為看護師実践者として実際に患者さんと関わっていきます。仕事をしながらの学習やレポート提出、試験を受けて実習を重ねるという1年間は、とても大変でしたがとても貴重な体験や、学ぶ事も大きかったです。1年間共に頑張った素敵な仲間ともこれから先も情報交換など関係を続けたいと思っています。

 

実習にご協力くださった患者様・ご家族様、忙しい中、研修に出させていただいた院長はじめ、看護部長・看護部の皆様、ご指導してくださった先生方、ご指導くださった上尾中央総合病院の指導者の皆様、心より感謝しております。そして、支え・協力してくれた家族にも感謝したいと思います。

 

医師の指示のもと医行為を行うという事は、その分責任も重くなります。医師と協力しながら安全に行えるよう観察・アセスメントを行っていきたいと思います。医学の視点と看護の視点の両方から患者さんを診る事で、患者さんにタイムリーな処置や看護が行えるよう今後も自己研鑽に努めていきたいと思います。

写真は、上尾中央総合病院で許可を頂き提供して頂きました。

 

＜研修風景＞

写真提供：上尾中央総合病院