看護日誌

東京都済生会向島病院、看護部のブログです。看護師が交代で日々の出来事や想いをお届けします。

看護日誌 手術を経験して今思うこと

2019年08月20日

昨年、人生2度目の手術を経験しました。1回目の手術は今から十数年前です。手根幹症候群で生活に困るほど症状がひどく、早く手術してもらいたい思いが強くありました。症状は両手に出ており、一度に両手の手術をしました。術後は箸が持てず、衣服の着脱も困難でしたがリハビリと思い、必死で痛みをこらえながら動かしたことを思いだします。

昨年の手術では、1回目の時と大きく違ったことがありました。それは、自らの身体から臓器を取り出し失うということ・・。外科病棟で働いた経験から、手術方法や術後経過、ボディイメージの変容による精神的ダメージなど、頭では理解できていました。しかし、実際に体験するとそれは大きく違っていました。手術を決断する前は、辛い症状が続き保存的治療効果も得られず、時には苛立つ自分を自覚しました。自分の年齢,身体病状,ライフプランや自分を取り巻く環境から、「手術」という選択をしましたが、「本当に良かったのか、他の選択肢は無かったのか」と、自問自答する日は続きました。それでも、少しずつ自分の思いを他者に伝えることで気持ちは整理され、手術前には“決断への迷い”は消えていたように思います。

手術が無事終わり、術後の経過も良く予定通り退院し自宅療養後、仕事に復帰しました。

もう元気になったはずなのに、「何かが違う」感じがあり、手術前と同じ事を考えてしまう日が今もあります。女性特有の病気の手術では、心の葛藤が大きく、手術前日に不安がピークとなり、手術後は合併症や再発など回復までの不安は続くと言われています。私自身、術後の経過に問題はなく太鼓判を押された今でも、心の葛藤は続いていることに気づきました。

最近は手術目的の場合、前日入院のことが多いと思います。そして標準的な治療計画・検査計画のクリニカルパスに沿って進められます。そんな中、患者の「思い」に寄り添った看護はいつ出来るのだろうかと改めて考えてみました。手術室の看護師とは入院した日に初めて会いました。顔を見せ合い、不安を和らげる意味での安心感は持てる可能性はあります。でも、患者が本音を話せるまでには至らないのではないかと感じました。私は暫く保存療法(注射)をしていたので、外来看護師と顔を合わせる機会はありましたが、会話の内容は注射の目的と作用、副作用の確認だけでした。手術の方針が決まったとき、手術までの流れ,必要書類の説明やオリエンテーションはありましたが、その時も「思い」を確認されることは無く、説明が分かったか分からなかったかの確認だけだったように思います。

2回目の手術で感じたことは、私たち看護師は日々行っていることを、気づかないうちに当たり前だと捉えてしまっているのではないか。そのため「患者の思い」を見逃しやすいのではないかということでした。改めて私自身の看護に対する姿勢を考えるきっかけにもなりました。現在は、今まで以上に患者の思いや意思決定を大事にしながら療養の支援が出来るように日々奮闘しています。

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