看護日誌

東京都済生会向島病院、看護部のブログです。看護師が交代で日々の出来事や想いをお届けします。

認知症の方が安心できる治療環境を目指して

2018年04月18日

桜も満開となり、卒業や就職など新たな旅立ちの季節になりました。私事ですが2月23日に、認定看護師教育課程認知症看護コースを無事終了しました。入学から卒業までの9ヶ月間、業務にあたりながら週末は学業という生活で、辛いことも沢山ありました。ですが、職場の仲間や家族の支え、同じ目標を目指して学ぶ学友に助けられ、無事に乗り越えることができました。やり遂げたなぁと言う感じで、今やっと、スペシャリストとして一歩を踏み出したことを実感しています。

何で認知症を深く学びたいと思ったの?と思いますよね。それは、一人の患者さまの帰宅願望がきっかけでした。患者さまは「家に帰る!」と看護師の手を振り払い、外に出てしまいました。健脚な方で追いかけるのに必死でした。少しでも気の済むようにと病院の周りを回り、看護師2人で患者さまの腕を両脇から抱えるようにして病室に戻りました。その時私が感じたことは、「こんなに帰りたいと思っているのだから、返してあげたらいいのに・・」と、医師や帰れない環境を「何故?」と恨めしく思っていましたし、単純に入院が長くなって帰りたいんだ、としか考えられていませんでした。その後も時々入院されることがありますが、あの時の事は嘘のように、入院中も穏やかに過ごされ、治療を受けて退院されています。今考えると、帰宅願望が強く外に出てしまった状況はせん妄だったのだと思っています。

さて、現場に復帰し早いものでてひと月が経ちました。認定看護師教育課程認知症看護コースで学んだ、認知症者への接し方や記憶障害への対応方法,何故帰宅願望を訴えるのか,などに対して以前とは違った対応が出来るようになったと思います。ですが、そう思ってはいても、患者さま一人一人が症状や程度も違い、何故その行動をするのかわからないまま退院されることもあります。「入院期間が短いからわからない、入院期間が長いからわかる」、と言う患者さまとの時間の長短で解決できることでもありません。そんな時は、どのように関っていたらよかったのかなぁと振返ってみたりします。また認知症者の対応は自分一人ができていても解決しません。スタッフ全員が認知症者を理解し、患者さまの尊厳を擁護して安心できる治療環境を整えていくことが大切になります。患者さまの目線・家族の目線になることも必要になります。

世界各国の中でも日本の高齢化率は高く、2010年に超高齢化社会へと突入し、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると予測されています。団塊の世代が75歳以上となる2025年には5人に1人の方が認知症になると言われています。当院においても認知症を合併した患者さまの入院が、年々多くなっていると実感しています。

認知症者への対応準備は整いスタッフ全員がスタートラインに立ちました。

スタッフの認知症者の対応力が向上し、看護師・患者さま・家族の方の笑顔が増えるように、リソースナースとして周りを巻き込み前に進んで行こうと思います。

あとは5月の認定試験に向けもうひと頑張りという所です。